骨質の貧弱さや萎縮による解剖学的退縮のため、上顎の部分的歯牙欠損はインプラント
治療における外科的・修復歯科治療において、きわめて困難な取り組みとなることがある。
骨の開削のためにドリルを使用する従来からの外科的処置方法では、幅径のより小さなイン
プラントを使うか海綿骨の骨質を増強するのでなければ、最小でも6mmの骨幅が必要とされ、
上顎洞の底部骨を貫通して皮質骨の両側性の支持が必要になる。
さらに骨の高さが十分無い場合、上顎洞への骨添加が望ましいとされている。
Summersテクニックは先端を平滑にしたオステオトームという器具で皮質骨の
境界内で海綿骨を段階的に押し拡げ圧縮することによって骨質と骨密度を改善する技術である。
このような技術を用いるとともに、Endopore インプラントではインプラント体表面の3次
元的な多孔的構造(50〜200μm)の内部への骨増殖によって接触表面積を最大化し、骨とイン
プラント表面の最適化を図ることができる。したがってより短いインプラント体を用いても
成功率を高めることができるのである。本研究では、退縮した上顎骨に修正Summers法によって
径の短いEndopore インプラントを埋入した結果を報告する。
対象と方法
18 人の患者が歯牙の部分的欠損部位にEndopore インプラント
の埋入処置を受けた。1患者当り1〜3本、総計で36本のインプラントが埋入された。インプラント
部位は中切歯から最後方の第2大臼歯まで様々であったが、その78%は犬歯より後方であった。
そのうち、4本だけが長さ10mm以上で11本が7mmでそれ以外は9mmであった。
全症例で、Summers 法の原型を元にしながら Endopore インプラントの寸法により適合
するように修正したオステオトームを用いたSummers 法によって骨開削が行われた。標準的な
直径4.1mmのインプラントの場合、外側の骨皮質を穿孔するために最初ラウンド=バーを用い、
その後骨密度が多少高い場合は、引き続き第1のパイロット=ドリルを使用する。その後、
必要な深さまで穿通するのに、マレットを用いて、順次No.1、2、3のオステオトームで
開削孔を拡大する。この後、開削孔が予定しているインプラントの寸法に適合しているか
どうかの確認のために、専用のトライアル=フィット=ゲージが挿入された上で、インプラント
体が良好な初期固定が得られるまで、しっかり圧入された。 インプラントは骨結合(オッセオ
インテグレーション)が得られるまで4ヶ月の安静期間を置かれた。
上顎洞底までの距離がきわめて短い症例では、上顎洞底挙上のための Summers法が
行われ、シュナイダー膜下に自家骨と冷凍乾燥無機化骨の混合物の圧入によって、簡便で非侵襲的
に行われた。このようなケースでは、インプラントはオッセオインテグレーションのために6ヶ月の
安静期間が置かれた。
結果
埋入されたインプラントはすべて骨結合(オッセオインテグレーション)していると推測され、
(2次手術による)露出の時点で、安定していた。その後、インプラントはセラミック=メタル
修復され、16〜37ヶ月、平均で2年3ヶ月間機能を果たしており、現時点まで脱落したもの
は無い。
考察と結論
マシン研磨されたスクリュータイプのチタン製インプラントではタイプIVの骨では失敗症例が
増加する傾向があることは広く知られたところである。同様に、上顎骨ではインプラントの長さ
の短いものでは失敗する傾向が高くなることも認識されている。
本研究では、径が短いにもかかわらず、 Endopore は2.3年以上機能を果たしている。
これは修正 Summers オステオトーム=テクニックにより、海綿骨の圧縮と緻密化が行われ骨質が
向上し、 Endopore の圧化適合インプラントの初期固定が得られたことによるものと考えられるが、
さらに Endopore の多孔質焼結被覆は骨誘導性があり、表面積を3倍にも増加させ、骨の早期の治癒
を促進し、3次元的な機械的結合によって骨とインプラントとの接合を最大化していると認められて
いる。