ネット時代のパソコン入門

               (兵庫県歯科医師会広報誌「歯界月報」 連載コラム)



              目   次

    第1回 知的モータリゼーションの時代(歯界月報 平成8年11月号)
    第2回 パワフルならば優しくなれる (歯界月報 平成8年12月号)
    第3回 小動物の群れは恐竜より強い (歯界月報 平成9年1月号)
    第4回 パソコン入門はネットから  (歯界月報 平成9年2月号)
    第5回 ネット接続に必要なものは? (歯界月報 平成9年3月号)
    第6回 ローカルネットの世界    (歯界月報 平成9年4月号)

     <この回以降、DNAメンバーによるリレー連載となります>

    第7回 ネットにつないでみよう   (歯界月報 平成9年5月号) by 山本 秀樹
    第8回 地方会でのネット構築    (歯界月報 平成9年6月号) by 奧長 孝文
   
  第1回 知的モータリゼーションの時代(歯界月報 平成8年11月号)

 岩壺先生の名コラムを引き継ぐにあたって編集部より与えられた趣旨は<記事を読んで、よし、ひとつパソコンを触ってみるかと思ってもらえるような内容を>ということでした。これは大変に難しい課題です。十数年、パソコンとつきあってきたとはいえ、趣味的感覚で遊んできただけの人間にそんな大それたことは無理かもしれません。しかし、私自身の関心はいつもパソコンそのものというよりは、それを使ってどんなことができるのか、それが社会の中でどんなふうに活かされていくのか、という方向に向いていました。パソコンを一部のマニアの閉鎖的世界の中に閉じこめたくない、誰もが気軽に使ってその便利さを実感してほしい、と思ってきました。マニアでない普通の人々とパソコンの世界の橋渡し役を少しでも務める機会になることを願って、難しい課題にチャレンジしてみたいと思います。

 パソコンの普及状況の変遷を考える時、私はよく、ひと昔前の「モータリゼーション」、つまり、自家用自動車普及が急速に進み始めた時期を思い出します。戦後、車の普及が進みはじめた初期の頃、自動車は随分高価でもあり、その割に扱いにくく、手こずることの多い道具でした。必然的に、そんな道具を個人で持とうかという人間は、そういうやっかいなものを手なずける苦労をいとわない一部のマニアに限られ、それを持ち、乗り回せること自体が趣味であり、ステータスであるような時期もありました。電車やバスで十分じゃないか、無駄じゃないか、等々の批判があっても、車の普及は急速に進みました。自動車は、自分が思い立った時に、行きたい所まで、ドアトゥドアで移動できます。車は個人の移動能力を飛躍的に高めます。普及にともない価格は下がり、オートマチック車の普及等で、使い勝手は圧倒的に向上しました。現代では老若男女を問わず、車に乗ることはごく当たり前になり、免許証は誰もが持っています。
 パソコンは個人の知的能力(の一部)を飛躍的に向上させる道具です。パソコンを使っていて、その世界の驚異的なスピードの技術革新の中で、「えっ、こんなこともできるの!」という驚きや喜びは、自ら車を運転できるようになって、思い通りの場所にスイスイ行けるようになった時以上のものがあります。
 私は常々、人間にとって、自らの能力の拡大の喜びは本能的、根源的なものなのではないだろうか、と考えています。
 現在のパソコンを取りまく状況は、モータリゼーションの展開状況に例えれば、『エンジンやメカ全体のパワーアップによる安定したマシンの出現・オートマチック化技術の普及による操作性の圧倒的向上・高速道路網の整備による利用範囲の飛躍的拡大』という時期にあたるのではないか、と考えています。このようなパソコンを取りまく状況の変化と現状について、次回から説明してみたいと思います。






第2回 パワフルならば優しくなれる(歯界月報 平成8年12月号)

 第一回のお話で、パソコンを取りまく現在の状況の特徴を、自動車の普及が進み始めた時代状況との類似から、3つのポイントにまとめました。
 そのうち、1)驚異的な技術的進歩による高速で安定したマシンの出現、と2)自動化技術の普及による操作性の圧倒的向上、とは実は密接に絡み合っています。マシンの高速性と操作の優しさとは一見相反する特性のように見えますが、事実はそうではありません。
 パソコンの心臓部に当たるCPUの高速化は、まさに技術的奇跡と呼べるほどの急速なものでした。同じコンピュータとはいえ、旧来の大型機や事務用のオフコンの世界が、一旦納入されると容易に乗り換えが効かない、いわゆる「メーカーによる囲い込み」が可能な世界だったのに比べ、パソコンのマーケットは個人が中心のきわめて健全で激烈な「自由競争」の世界でした。少しでも高速で性能の高い機種が開発されるとユーザーは雪崩を打って、メーカーを移動します。このような「純粋な自由競争」の世界での技術革新のスピードはすさまじく、<数年前の事務用オフコンの性能を上回るようなマシンが、ボーナスで買える価格で個人の机の上に載る>というような他の世界では信じられないような現象すら生じたのです。
 そんなに高速なマシンが個人の生活に必要なの?我々は膨大な科学技術計算をするわけでも、大量な事務処理をするわけでもないのに・・と考えるのはもっともなことです。ところが、事実はそう単純ではありません。パワーは(お金と一緒で)多いにこしたことはない、のです。有り余るパワーがあれば、それを純粋な処理以外のため、つまり、人間が<呪文>のような命令を覚えたり、分厚い解説書を読まなくてもすむような自動化技術のために使えるようになるわけです。
 つまり、コンピュータ資源が貴重品で、とてつもなく高価な時代には、すべてがコンピュータ中心で、人間がそれに合わせて難しい操作技術をマスターしなければなりませんでした。これに対し、安価で高速なコンピュータが出現すると、複雑な命令や操作部分をコンピュータの方に負担させ、人間は直感で分かる単純な操作のみですませることが可能になってきたのです。
 コンピュータ資源がまだ貴重だった頃からこのような方向を真剣に考え、熱狂的なファンを引きつけてきたのが、アップルコンピュータ社の Macintosh シリーズです。 一方で、これまでの初心者には使いづらい<呪文のような>命令体系のシステムを大幅に改善し、同様の使い易さを実現したと大宣伝を打ったのが、昨年、社会現象ともなったWindows95でした。
  MacintoshとWindows95の普及によって現在のパソコンの操作は、いわば<オートマチック車>の段階に入った・・・少々おおざっぱですが、そのように言ってよいでしょう。





第3回 小動物の群れは恐竜より強い(歯界月報 平成9年1月号)

 第二回のお話で、パソコンが、1)驚異的な技術的進歩による高速で安定したマシンの出現、と2)自動化技術の普及による操作性の圧倒的向上、という条件が絡み合うことによって、普通の人々の日常的道具として使われえる環境が整ってきたことを述べました。
 さらに、3)(自動車に例えれば)高速道路網の整備による利用範囲の飛躍的拡大、という条件が加わることで、パソコンの社会的普及は一気に加速されることになりました。つまり、ネットワークの本格的利用が急速に進み始めることにより、コンピュータは孤立した単体のマシンとしてではなく、ネットにつながる多くのマシンが協同して働くという新しい状況が生まれ始めたのです。
 きびきびと俊敏に動く小動物は群れをなして協同作業をするようになってきました。これと対照的なのは、すべてを単体でこなそうとして肥大化してきた旧来の発想の大型ホストマシンです。恐竜のような大型マシンでは全体に関わらない細かな処理もすべてホストに集中させます。それは我々の世界で言えば、地方会の小委員会の懇親会の日程まで日歯に相談するようなもので、無駄な情報伝達が無数に生じます。そのような情報処理の集中は無意味なものです。
 しかも、そのような情報を集中させるシステムはリスクに対してきわめて脆弱です。恐竜がいかに巨大であっても頭脳をやられれば、システム全体が麻痺してしまいます。 インターネットのそもそもの由来が冷戦下の核戦争の危機管理対策として、重要な国家機密や軍の情報を分散して複数のコンピュータに保有させるという発想から生まれたものである、というのは有名なエピソードです。局所的な問題の情報処理は個々のパソコンで済ませ、必要な情報はネットを通じて相互にやり取りするという手法をとるほうが、効率的で、安全で、社会的にも自然であることが分かってきたのです。5年程前から急速に普及しはじめたこのようなコンピュータの使い方の変化を「分散処理」・「ダウンサイジング」といいますが、これは見方を変えれば、ネットワークを通じて柔軟に結合し、協働しあう仮想的巨大コンピュータの一部をそれぞれが(パソコンという形で)持つともいえます。
 つまり、これからの状況の中で、パソコンを持つというのは、単にその小さな箱を持つということではなく、それを通して、世界規模の情報社会にドッキングし、そこを通して情報を呼吸するということになっていくでしょう。これまで趣味的個人的世界のものと思われてきたパソコンが、最近になって急に社会的話題の対象となり、誰もが無関心でおれなくなってきているのはこういう状況の変化が進んでいるからです。
 社会全体が情報の海と化しつつある現在、この情報の海で呼吸する<アクアラング>としてのパソコンとどういう形でつきあえばいいのか、次回から具体的に考えていきたいと思います。





第4回 パソコン入門はネットから(歯界月報 平成9年2月号)

 ようやくパソコン入門の具体的なお話に入ることになります。
 これまで、パソコンには縁のなかった方が「値段も安くなったようだし、子供でも遊べるくらい簡単になったというし、世間ではインターネットだの電子メールだと騒がしいし、ぼちぼちパソコンでも・・」と初めてパソコン売場に出かけた時、何より驚かれるのは所狭しと並べらている製品の種類の圧倒的な豊富さでしょう。「どれがどういいのかわからんし、店員の説明もちんぷんかんぷんだ。まず本でも読んで予備知識を」と考えてパソコン書籍売場に出かけると、ここもまた「いつの間にこんなに増えたんだ!」というほどの書籍の洪水です。
 その気にはなったけれど立ち往生、という風情の方をよく見かけます。
 こういう問題への一番簡単な解決策はあなたの周りにいる<パソコン好き人間>に聞いてみることでしょう。パソコンを使い慣れてその面白さに目覚めている先達は大抵その楽しさを一緒に共有できる人の出現を歓迎し、喜んで相談にのるはずです。(不幸にしてそんな人種が周りにいない、という方は我々の同好会までご連絡下さい。相談にのります。0794-22-6143 <幹事>山本秀樹まで。)
 何はともあれ、適当な入門機をとにかく買ってみましょう。さて、そこでぶつかる次の大問題は「これで一体何をすればいいんだ」という重大な(?)命題です。 買った後でこんな深刻な(?)問題にぶちあたるのが、パソコンというものが他の電化製品と大いに違うところでしょう。
 これに対する私の回答が今回のタイトルです。パソコンを買って、さて、何ができるのかという問いに「まず、ワープロでしょ、表計算、それから、グラフもかけるよ・・」という発想は<前ネット時代>の発想と言っていいでしょう。
 前回述べたように、現在の状況の中で、パソコンを持つというのは、<それを通して、世界規模の情報社会にドッキングし、そこを通して情報を呼吸するということ>です。<前ネット時代>の発想では、コンピュータを通信に使うというのは上級者の「高級技」といった趣があったのですが、今や状況は一変しています。 パソコンを買ったら、とにかくネットにつないじゃいましょう。そこからすべてが始まる、というのが<ネット時代のパソコン入門>です。ネットにつながった瞬間から、パソコンは(机の上で埃をかぶるかもしれない運命から逃れて)世界に張り巡らされた情報網の一部として息づき始めます。ネットの向こうに多くの相手が、瞬間に情報をやりとりできる世界が拡がっているのです。ちょっとした操作を覚えるだけで、慣れないマウスとキーボードにおたおたしつつも、世界からの情報を受け取ることは簡単にできます。そこからほんの一歩を踏み出せば、自分から情報を発信するのもそう難しくはありません。
 「ネット、ネットというけれど、どこに、どうやってつなぐんだ?」という問いはもっともです。そのお答えを次回以降に述べたいと思います。





第5回 ネット接続に必要なものは?(歯界月報 平成9年3月号)

 パソコンを前にして、CMのおじさんではありませんが、「触ってみたいけど、ちょっとこわい」と躊躇されている例、特に「買っても使えないんじゃないか」と思い悩まれる(?)ケースは多いようです。
 前回お話したように<ネットにつなぐことを前提にすれば、ほこりをかぶることはありません>ので、とにかくパソコンを手に入れましょう。
 さて、それでは、用意したパソコンをネットにつなぐお話です。「パソコンをネットにつなぐ」という場合、現時点では、かなり特殊なケースでない限り、その接続に利用するのは《電話回線》です。したがって、これは大事なことですが、ネットで利用しようとお考えなら、パソコンは電話線の近くに設置しなければなりません。
厳密に言えば、電話線の接続口が手近にないとパソコンをネット接続に利用することはできません。要するに現在、電話機がある所に置くか、あるいは、パソコンを置きたい場所まで電話線を延長する工事を依頼するかしなければなりません。(こういうつまらないところで躓いて、折角の意気込みが挫折するというケースも結構あります。)要注意は親子電話です。この子機からの接続はうまくいきません。つまり、親機のある接続口からパソコンに接続してやる必要があります。それから、これもよく心配される方がありますが、電話機は従来通り使えます。(ただし、パソコンでネット接続中はいわゆる「話し中状態」になります。)
 ところで、電話線というのは言うまでもなく人間の音声を伝えることを前提にしたケーブルです。パソコンがやりとりする信号は音声信号とは性質を異にしています。いわゆるアナログとデジタルという違いです。したがって、パソコンを使っての情報のやりとりを電話線でするためには、この信号の性質を変換する機器が必要です。これがモデムと呼ばれる小機器でネット接続のためには必須アイテムです。
 つまり、ネット利用のためにはパソコン本体、電話回線、モデムの3点セットが必要だということです。ただし、最近のパソコンはほとんどネット接続を前提にして作られており、モデムを既に本体内に内蔵している機種の方が多いようです。この場合、当然モデムを別に買う必要はありません。モデム単体で買うと1〜2万円程度ですが、初心者の方にはモデム内蔵の本体ごと買う方が面倒が少ないかもしれません。
 以上で機器的な準備は完了です。次回から、具体的な接続のお話に入ります。

<初心者の方が躓きがちな点にも注意した説明を心がけたいとは思っていますが、限られたスペースには限界もあります。
 各地の地方会で次々にネット構築の計画が進みはじめているようでもあり、我々の同好会を発展的に解消し、情報交換と研修のための研究会を設立する形での準備も進めているところです。関心をお持ちの方はご連絡下さい。
Fax 078-936-4185>


 


第6回 ローカルネットの世界(歯界月報 平成9年4月号)

 さて、パソコンとモデムを用意し、電話線との接続も終えたとします。これは、車で言えば、新車を買い、ガソリンを入れ、家のガレージでエンジンをかけたようなものです。これからどこかに出かけようというわけですが、問題はその出かけ先です。つまり、ネット接続をするとして、<どこに接続するのか>という問題です。
 パソコンを使って情報のやり取りをするというネットワークの種類は、専門的に言えば、数多くの基準による無数の分類が考えられますが、初めてネットを利用しようかという方にとって理解しておく必要のあることはごくわずかです。
 一般の方が利用するネットワークの種類は大きく分けて2つあります。<特定のメンバー同士でのやり取りである一種のメンバー制のネットに参加するもの>と<無数のネット同士がつながる世界規模のネットの中に飛び込む>ものです。車に乗って、顔見知りが集まるパーティ会場に出かけるのか、無数の未知との出会いを求めてふらりと世界一人旅に出かけるのかという違いと言ったらいいでしょうか。
 今回はまず、前者のメンバー制のネットについてお話します。このようなシステムでは基本的にネット接続する先のコンピュータ(これをサーバーと言います。情報提供というサービスをするものという意味です)は特定の1台と考えていいでしょう。このネットを利用するメンバーは全員がすべてこのサーバーに接続して(これを<サーバーにアクセスする>と言います)お互いに情報をやり取りします。そこに出没するメンバーは大体同じ人たちになるわけですから、このサーバーを中心に身近でローカルな世界が出来上がります。例えば、我々歯科医を中心としたネットでは、同業の人間同士での身近な話題が飛び交う世界が出来上がります。 後で説明するインターネットのような一瞬にして世界を駆け巡るといった気宇壮大なロマンはありませんが、手軽に日常生活の一部として利用できるネットワークの利用の形としては大変取っつきやすく、ネット入門に適したものではないかと思います。
 このようなサーバーにアクセスするにはそのための通信ソフトを用意し、メンバーとして参加するための資格を登録してもらう必要があります。普通、このようなネットではそのサーバーの世話をしている管理者がおり、その人に連絡をとれば、このような一連の手続きを親切に世話してくれるはずです。
 まず、手近なこのようなネットに参加する手続きを終え、メンバー共有のサーバーにアクセスするとします。つまり、行き先を近所のパーティと決め、その会場に車で乗りつけました。さて、そこではどんなパーティが行われており、あなたはどんな形でそのパーティに参加すればよいのでしょう。
 次回は、我々が運用しているネットを例にして、そのお話をします。




    <この回以降、DNAメンバーによるリレー連載となります> 




第7回 ネットにつないでみよう(歯界月報 平成9年5月号)  山本秀樹

 今回は身近なネットワークの世界を気軽に体験できる場として、兵歯会員を中心に運用されてきたローカルなネットについてご案内したいと思います。
 我々のネットではファーストクラスという通信ソフトを利用しています。それを使って接続してみましょう。まず最初にデスクトップという画面が開きます。その中に最初は4つの書類箱のようなキャラクターがあります。そして横に赤い旗が立っているのもあります。
 最初にConferenceを見てみましょう。これがこのネットの会議室です。ダブルクリックで開けてみて下さい。中から様々な会議室のタイトルが出てきます。Computer、 Hobby 、雑談ルームなんてのもありますね。お好きなところを開けてみて下さい。ずらーっとメッセージのタイトルが出てきます。全部横に赤旗が立ってるはずです。この赤旗はあなたがまだ読んでないメッセージと言うことを示しています。今までうちの会員の方が書き込んだメッセージで一杯です。コンピューターの事、仕事の事、趣味の事、それらのほとんどが兵歯の会員の先生の書いたメッセージです。えっ!あの先生がこんな事を書いているの?とか、あの先生はこんな趣味を持っていたのかとか、身近なところで新しい発見があるかもしれません。もし気に入ったら返信メッセージを書いてみましょう。メッセージメニューから返信を選びます。文章を書き終えるとクローズボックスをクリックします。すると「今送りますか?」と聞いてきますのでそこをクリックします。それだけでOKです。会議室を見るとあなたのメッセージがちゃんと入っているはずです。通信を終了するときはサービスメニューから回線切断を選んでOKをクリックするだけです。
 どうですか?簡単でしょう。ファーストクラスのメリットは、それまでのコンピューターの操作とほとんど変わらない操作でアクセスできることです。皆さんもぜひ一度、体験してみて下さい。きっと新しい世界が広がるはずです。

 現在、私たちは歯科医師間のネットワーク利用についての研究会として、情報通信に関する最新の動向を研究し、相互の情報交換を目指して、DNA(デンタルネットワークアソシエーション)という組織を準備中です。各種の講習会等も企画し、初心者の方のネットワーク入門のお手伝いもしていきたいと考えています。それらの活動を通して、様々なレベルで進みつつある新しい情報伝達システムについての理解を深め、会員間の交流を図りたいと思います。
ご興味のある方は、お気軽に
 DNA準備事務局<やまもと歯科内>
(Tel 0794-22-6143、Fax 0794-22-6145)までご連絡下さい。





第8回 地方会でのネット構築(歯界月報 平成9年6月号)  奧長孝文

        (1)灘歯の情報伝達網の変遷

 今回は前回このコラムで紹介されたローカルネットと同じシステムを使って会務連絡に活用している実例をお話いたします。

 灘歯では平成6年4月の新執行部時発足時に庶務委員会の業務を見直すこととし、会費分に見合うだけの情報を会員に伝えるということを第一の目的とした取り組みを始めました。当時会員と会との情報交流は月1回の十日会と称する月例会、勉強会および電話連絡網のみでした。
 まず会員に定期的な情報提供を行うこととし、灘区執行部からのお知らせ、および会務状況、また種々の委員会活動状況、対外的な出務(健診業務、役員の出張)、県歯、神戸市歯科医師会状況等の情報を封書で各医療機関へ郵送することとなりました。封筒詰めや切手貼りなど庶務委員にとっては最も労力のいる原始的な方法でしたが、会員は<庶務案内>と名付けられたこの配布物により多くの情報が得られ、実際に感謝されました。
 この当時ファックスはまだ一般には値段が高いこともあり現在のような普及状況ではありませんでしたが、NTTの行っているFネットというサービスを庶務委員が探し出してきました。一斉同報通信という耳慣れない言葉にその便利さは会員の間にはまだまだ理解されませんでしたが、平成8年には会員全員がファックスを導入することになりました。2年越しの努力の成果でした。現在では<庶務のお知らせ>はこのFネットを使って全員に配信されています。
 このような動きのさなかに、阪神淡路大震災の直撃によって我が灘区の会員間でせっかく作り上げた連絡網は寸断されるという経験をしたのです。一応復興のめどの立ってきた5月に会でパソコンを購入することとなりました。これは灘歯のデータの保存場所、庶務委員会の情報加工の道具ということでしたが、震災時での情報通信手段として一躍脚光を浴びたネットワークの利用を考え始めたこともあります。会にもパソコンを以前から所有している会員が若干名おり、既にパソコン通信をしているものもいました。そこでそれら会員が率先してパソコン同好会を設立し、会員向けにパソコン講習会を開きパソコンの普及に努めるようになりました。ここでのパソコン同好会の最終目的は灘区歯科医師会にパソコンによるネットを構築することでした。
 この時、県の調査室を中心にFirstClassというネットワークシステムによって会務連絡をしているということを知り、パソコン同好会でも目標を灘歯で運営するネット構築に置くことにしました。
 平成8年10月15日(火)9:00pm灘区歯科医師会にFirstClassによる灘歯ネットがたちあがりました。これは情報伝達方法を議論してきた執行部、庶務委員会、灘歯会員にとっては画期的なことでした。
 (次回は現在のネットの稼働状況について説明いたします。)