目的
オッセオインテグレーションの概念の確立以来、インプラント治療のプロトコールは表面性状の改質に伴い
変化しており、最近粗面の表面性状を有するインプラントでは、高い生存率が報告されるようになってきている。
これは表面性状が三次元化されることにより、機械的な嵌合力が増加し初期固定が向上すること、ならびに
インプラント表面への骨誘導・形成が促進されることによると認められている。しかしながら、その生体力学的な
効果についてはまだ不明な点が残っている。今回、われわれは、インプラントが骨結合した表面の三次元構造の
生体力学的な意味の究明について、インプラント周囲の骨内部の応力分布について検討した。
対象と方法
実験群には、エポキシレジンによるブロック(2cm正立方体)に三次元構造を有するインプラント(エンドポア
:プラットフォームの直径4.1、長さ:7、9、12mm)を埋入固定した。インプラントに連結したアバットメント(高さ
5mm)の先端に20Nの側方力を与え、その際に生ずるひずみを側ブロックの表面ならびに深さ3mmの部位に
ストレインゲージを計4カ所(圧縮側表面、圧縮側内面、引っ張り側表面、引っ張り内面)に貼付して測定した。
対象群には機械研磨表面性状のインプラント(ジーシー:プラットフォームの直径4.0、長さ:8、10、12mm)で
同様に測定した。なお、結果は得られたひずみの値で比較した。
結果
今回実験の結果によって、以下2つの分野を究明している。まず、表面性状とひずみの発生については、
実験群では対象群よりも引っ張り側表面で高いひずみ値を示した。実験群においては、荷重側では引っ張り、
非荷重側では圧縮のひずみが記録されたが、対照群では非荷重側の大きな圧縮力のみが記録された。また、
実験群では測定部位間の差は小さく、深部に行くに従い値が減少する傾向を示している。つまり、実験群では
インプラントがブロックと一体化して表面に出た部分が変形し、対照群ではインプラント体全体が傾斜するかの
ような動きを示したものと考えられる。
次に、長さとひずみの発生の関係については、いずれの群においても9、10mm の長さにおいて測定部位
間の差が小さくなるとともに、他の長さの場合よりひずみの値が小さくなる傾向を示した。今回の実験結果に
関して2003年にPierrisonard LらはFEMを用いた実験をもとに発表された文献において「長いインプラントが
効果的にストレスを分散するわけではない」とされているのと同様な結果をしめしていると認められる。つまり、
生体性力学の観点をみると、 Short implant の力学的な有効性があると思われている。
考察と結論
以上のことより、三次元構造を有するインプラントは機械研磨表面のインプラントに比べて
異なった力学的特徴を有していること、また、短いインプラントには力学的な利点があることが示唆された。