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(社)日本口腔インプラント学会で症例発表

                                         (2008年9月12日)
 日本口腔インプラント学会はインプラント分野での日本で最大の公的学会です。
 毎年1回開かれるその全国学術大会が本年の9月12日〜14日、東京有楽町の国際フォーラムにて 開催されました。

 今年の大会で目立ったのはインプラント治療において埋入後の長期的な周辺骨吸収抑制効果を 持つと思われる新技術で、この技術はグローバル=スタンダードとしてほぼ認められつつある ようです。
 その裏づけとなる基礎的研究やデータが多数発表され、微妙な技術的 細部の問題が明らかになりつつあるようです。
 当院でも、この技術を応用できるドイツ製やアメリカ製のインプラントを導入して 日々の診療に取り入れており、大変参考になりました。

 その他、再生医療で有名な名古屋大学の研究者から自己幹細胞からの歯槽骨再生技術の インプラント治療への応用など、夢のある興味深い発表も多く、国内外の先端情報を吸収するべく広大な 会場の各ブースを移動しつつ大学研究者や臨床家の発表に熱心に耳を傾けました。

 また、この学術大会において院長も日常臨床からの症例発表も行いました。
 以下はその内容を一般向けに簡素化したものです。 興味ある方はご一読下さい。


上顎小臼歯部中間欠損に
インプラント治療を行った1症例

A Case of Maxillary Premolar Intermediary Missing Treated by a Dental Implant

                松賀歯科  松賀 正考

I. 緒言
 一般的に,一歯中間欠損における補綴は,局部床義歯かブリッジである. しかし、インプラント治療では,違和感が少なく,両隣在歯の削合や咬合力を負担させる必要もない. 現代では,長期の予知性もほぼ確立され,患者にとってのQOLの高い,安心できる治療の一選択肢と なったインプラントを応用し,欠損補綴を行った症例を報告する.

II. 症例の概要
 <患者>67歳,男性.
 <主訴>上顎第2小臼歯の歯牙破折,抜歯後の咀嚼障害
 <現病歴>平成16年3月,左側上顎第2小臼歯の破折を主訴として来院.保存不能と判断されたため, 同月,抜歯に至った.
 <パノラマX線所見>当該歯の以外には,左側上下の智歯を含め残存しており,上下顎とも骨量は十分で当該 部位で上顎洞底までの距離は20mm以上あると思われた.
 <口腔内所見>ポケットは全顎的に2〜3mmで歯肉の状態はほぼ健全で,問題なかった. 前歯部は Overbite が6mm程度の過蓋咬合であるが,機能的な障害はない.

III.治療内容
 平成16年3月の初診時、破折した当該歯が保存不能な状態で抜歯が不可避であることを伝え, その欠損部位の補綴処置について,患者に詳細な説明を行った。部分床義歯は違和感と管理の 不便さから、ブリッジは臨在歯、殊に健全歯である左上4番の形成削合が必要なことから、 患者はインプラントによる補綴を希望した.
 インプラント埋入時期について,1) Immediate, 2) Delayed immediate,3) Late の術式とその長・短所を説明したが,患者の希望から Delayed immediate の埋入を選択し,同月抜歯を行った.ペリオトームを用い周辺骨を破損 しないよう注意深く抜歯を行い,抜歯窩を徹底的に掻爬し,骨の保存・再生のための環境整備を心がけた.
 抜歯後10週間経過した5月に局所麻酔下にインプラント埋入手術を行った.粘膜骨膜弁剥離後, 歯槽頂部からインプラント窩を形成した後,ScrewVent(米国 Zimmer Dental 社製)の直径3.7mm、 長さ11.5mmのフィクスチャーを埋入した.
 5ヶ月の免荷期間を置いて,同年10月に2次オペを行い, ヒーリング=カラーによって周辺歯肉の整形治癒を待って,11月にアバットメントをスクリュー固定し, シリコン印象を行い,平成17年1月に陶材焼付鋳造冠を装着した.

IV.経過と考察
 上部構造装着後,半年間隔で定期的チェックと検診を行ってきた.補綴後3年3ヵ月後の パノラマX線写真では,インプラントのフィクスチャーおよび周辺骨に異常は見られない. また,補綴終了後,現在に至るまで,患者は違和感や不満を訴えておらず,機能的・審美的に 満足していると思われる.

V.結論
 単独歯中間欠損に対し,インプラント治療を行うことによって,隣在歯,殊に健全歯である 第1小臼歯に何らの侵襲を加えることも,新たな咬合力負担を加えることもなく,欠損補綴が 行えたことに対して,患者の満足度は大きかった.他の補綴手段に比べて,違和感の少なさ, メンテナンスの容易さ,など患者のQOLの向上,さらに,残存歯の保護という点で優れたメリット を持っていると思われる.



 -- 学術大会が開かれた東京国際フォーラム--




 -- 最先端の新器材に溢れた機器展示会場--






 -- 初診時(左上第2小臼歯の破折)--




- 破折歯の抜歯から10週間後 -




-- 破折歯の抜歯から10週間後のX線 --




- インプラント埋入3年後 -




-- インプラント埋入3年後のX線 --



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